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季節ごとに移りゆく花々の日記
ジヴェルニーの食卓

📚原田マハの作品📚

*写真右はモネの絵画でジヴェルニーの庭園の睡蓮の池と太鼓橋、そして風に揺れる柳の木です。

 

この本は4つの短編小説からなっており、マティス、ドガ、セザンヌ、モネの4人の事が身近な人によって

語られています。 それぞれの画家の絵はすぐに思い出され、マティスは華やかな色彩の絵、ドガは

チュチュを身に着けたバレリーナ達の絵、セザンヌは青い花瓶、モネは何といっても睡蓮の絵ですね。 

これらの印象派の画家達の世の中に認められる以前の事が描かれているのですが、あくまでも小説です

のでフィクションもあるのだと思いますが、色々な苦労話やちょっとしたエピソードが描かれ、これらの

偉大な画家達が身近に感じられれます。 特に最後の「ジヴェルニーの食卓」は、もう15年位前になると

思いますが、娘とパリ旅行に行った時に、パリ郊外のジヴェルニーを訪れていたので、小説に描かれている

光景が思い出され興味深く読みました。 モネはジヴェルニーに美しい庭園を造って、出来るだけ自然の

ままに色々な花を咲かせ、あの有名な睡蓮の絵の池を庭園の中に造り、浮世絵など日本文化への憧憬もあり、

その池の周りには柳が茂り、また太鼓橋を架けたりしたのでした。 その美しい庭園を私達は散策してきま

したが、モネの描くあの睡蓮の景色に感激したものでした。 実はそれを真似た庭園が日本にもあり、比叡山

ガーデンミュージアムという所です。 ジヴェルニーではあまり綺麗な写真が撮れず、比叡山のほうで結構

素敵な写真が撮れたので、後でここに張り付けておきます。

その小説の後半にはモネが徐々に視力を失い、絵を描く意欲を失ってしまうのですが、語り手である義理の

娘によって励まされ、モネの最後の超大作であるオランジェリーの睡蓮を仕上げます。 モネの睡蓮の絵は

幾つか見た事はありますが、このオランジェリーの睡蓮はまだ見た事がなく、ぜひ見たいと思っています。

普通画家というのは薄暗いアトリエで黙々を絵を描くものだそうですが、モネは光を大切にする画家でしたので

目の悪い者にとって戸外での明るい陽の光が悪い影響を及ぼす事が分かっていても、彼にとっては戸外が絶対

的にアトリエだったそうです。 そう言えばモネの絵は光に満ち溢れていると思います。

原田マハさんの小説は娘に勧められて初めて読みましたが、絵画が好きな人にとってはとても興味深いと思い

ます。 どうしてこんなに絵画に詳しいのかしらと思ったのですが、関西学院大学を卒業後、早稲田大学で美術史を

専攻され、キュレーター(博物館における収集資料の研究に携わり、専門知識をもって業務にあたるそうで日本の

学芸員に相当するそうです。)をされているそうです。 絵画の作品を鑑賞するだけでなく、色々な事を知ると

より身近なものとなり、面白くなりますね💛

 

*比叡山ガーデンミュージアムの睡蓮と太鼓橋、モネが愛したジヴェルニーを真似た庭園です。

 

*垂れ下がる藤の花と池の畔の小舟、とても良い感じでした! ここも絵にしたら素敵でしょうね。

 

*これは関係ありませんが、この風にそよぐポピーを中心とするお花畑、とても素敵でした!

 モネの庭園のようにとても自然な感じで、色取り取りの花々が咲いていました。

 これらの景色すべてが印象派の絵画のようで、私のお気に入りの写真です。

 

posted by Violet | 00:05 | 読書 | comments(5) | - |
最近読んだ本

📚カリナン・陽の名残り・宿命📚

*「陽の名残り」の映画の冒頭のシーン(テレビの映像を写真で撮りました)

 

*カリナン・・・・・春江一也

*陽の名残り・・・カズオ・イシグロ

*宿命  ・・・・・東野圭吾

 

最近読んだこれら三冊の本ですが、まず「カリナン」は「プラハの春」の著者・春江一也の書いた本で

やはり外交官として赴任した事のあるフィリピンが舞台となる小説です。 内容的には「プラハの春」程の

感動はありませんでしたが、フィリピンという国を少しは理解できたと思います。 私が元々フィリピンに

対して抱いていたイメージは余り良いものではありませんでしたが、それらはかつての日本が作り上げて

きたもので、そういう先入観で見てはいけない、それは恥ずべき事だと思いました。

「陽の名残り」は先に映画で見てしまっていたのですが、この写真にある屋敷が舞台となり、そこの執事の

目を通して「古き良き時代の英国」が描かれているのですが、実はそれは表向きの事で、この小説に描いて

あるのはすべてパロディーだという書評を読んで驚きました。 そう言えば、徹底してプライドを持って

執事の役目を果たす主人公の姿が、ある意味滑稽な印象を受けました。 彼は我を忘れてあまりに仕事に

没頭するが故に、仕事仲間の女中頭の恋心に気が付かないほどの鈍感な人間として描かれ、また彼が忠誠を

捧げた主人が後にナチス寄りになった人として葬り去られる程度の人間だったという、このような事がパロ

ディーという事なのでしょう。 そしてこの立派なお屋敷もイギリス人からアメリカ人の手に渡るのですが、

この主人公は小説の最後のあたりに、新しい主人のアメリカ人を喜ばすためのジョークを勉強しようと言って

この小説は終わるのです。 「古き良き時代の名残り」に対して郷愁はあるけれど、変わって行かなければ

いけないと決心したのですね。

「宿命」は東野圭吾の作品で、推理小説ではありますが、事件の謎解きよりも人間関係のほうが面白かった

です。 彼の作品は今までに「白夜行」、「秘密」を読みましたが、特に「白夜行」は罪を背負って生きて

行く二人の若者の生き方、悲しいけれども、そうせざるを得ない、その懸命な生き方に心を打たれました。

ドラマでも見ましたが、綾瀬はるかさん、山田孝之さんの演技が素晴らしかったです💛

posted by Violet | 14:20 | 読書 | comments(0) | - |
小説「ウィーンの冬」

📚東欧三部作・完結編📚

*ウィーンと言えばこのシュテファン大聖堂ですが、ウィーンにいる間何度も目にした光景です。

 

もと外交官の春江一也著の「プラハの春」、「ベルリンの秋」に引き続き「ウィーンの冬」をやっと読み終え

ました。 ウィーンは去年、一昨年と訪れた街なので、色々な街の描写が懐かしく思えるかなと思い、読み

始めましたが、確かにオペラ好きの主人公がシュテファン大聖堂近くのホテルから、ケルントナー通りを歩いて

オペラ座に入り、オペラ座の中の描写や「椿姫」のことが書いているあるくだりは、とても懐かしく、ワクワク

しながら読みました。 でも実はこの小説はウィーンの表のきらびやかな部分ではなく、ウィーンの持つ裏の

顔を中心に描かれていて、それも真実なのかも知れませんが、私としてはちょっとガッカリな部分もありました。

この小説の途中に出てくるゲルハルト・ロート著「ウィーン内部への旅」(実際に存在する本です)で、華やかな

ウィーンとは裏腹に存在する、暗く重苦しいウィーンを描いているそうですが、ヨーロッパ大陸の中央にある

オーストリア、その首都ウィーンは昔から東西文化の交差点で、国際謀略や犯罪の舞台として鳴らしていたとの

ことです。 そんな事を聞くと、無防備に個人旅行で呑気にウィーンを楽しんでいた主人と私の二人旅ですが、

ぞっとしてきますが、アジア人、特に日本人はほとんど会わなかったですし、多分ですがヨーロッパの各国の

人達が本当に沢山観光客としてウィーンを訪れていました。 私達が訪れたのは2回とも夏でしたので、夜9時近く

まで明るく、戸外で過ごしている人が多く、通りの真ん中はオープンカフェが並び、皆人生を謳歌している

雰囲気で微塵も犯罪の影が見えたりはしませんでしたが、現実はどうだったのでしょうか・・・。

この小説の主人公、堀江亮介は青年外交官(ノンキャリではありますが)として華々しく活躍したことがあった

けれど、この時には社団法人へ出向し、特殊工作員としてアマデウスというコードネームを与えられて、ウィーンへ

送りこまれ、色々な国の情報機関と連携して、日本のオカルト集団(オウム真理教)、北朝鮮の工作員、イスラム

過激派等が絡む核爆弾「プロメテウスの火」の売買やテロを阻止するために活動するのです。

期待外れの部分もありましたが、ウィーンの持つ華やかさの陰には裏の顔ありというのはちょっと面白かったですし、

私達が実際にウィーンを訪れて感じた事ー子供の頃から憧れの街であったウィーンの街は私達を受けて入れてくれて

いる感じがするのに(どこを訪れても素晴らしい! 音楽も美術も工芸作品もカフェも!)、ウィーンの人達がとても

感じが悪かったのですが、この小説にも同じような事が書かれていて安堵しました。 小説の中に「ウィーンの老人は

親しく外国人に語りかけるようなことは滅多にしない。 気難しくて、外国人に対して傲慢な人が多いように見受け

られた。」というくだりがあって、老人という特定はあったものの、年を取って急にそのようになる訳はなく、その

ような風潮があることが伺えました。 

私達の友人も同じような事を言っており、ブダペスト、ウィーン、プラハの順にまわったそうですが、感じ良い、悪い、

良いと次々と変わって、面食らったような事を言っていました。 私達もウィーンの後にプラハに行きましたが、

プラハの人は総じて感じよく親切で、お国柄ってあるのだと思いました。 でも外国人にとってはその国の人が親切

なのはとても有難く、日本の「おもてなし」の心は、日本を訪れる外国人にとってはとても有難い事だと思います。 

ただ日本の場合は一般的に英語を話せる人がどのくらいいるかという問題があると思います。 親切な「心」と語学力の

両方があると良いですね。

本題に戻って、「ウィーンの冬」は前の二部作とは全然趣が違って、ロマンス性は全くなく、史実に基づいておらず、

フィクション、サスペンスの要素が強い作品で、ウィーンに強い憧れを持っている方にはあまりお薦めできないと

思いますが、自分としては三部作全部読めて満足でした💛

posted by Violet | 10:28 | 読書 | comments(2) | - |
小説「ベルリンの秋」

📚「プラハの春」の続編📚

 

元外交官の春江一也氏の「プラハの春」が面白かったので、続編である「ベルリンの秋」を読みました。

かなり分厚い文庫本2冊で、実はかなりしんどくって途中で放棄したくなったほどで、読み終えるのにかなり

長くかかりましたが、やっと昨日読み終えました。

まさにドイツが東西に分断されていた時代からベルリンの壁が崩壊するまでの東ドイツの状況、ソ連崩壊に

至るまでの状況が事細やかに描かれていて、まさに私達が生きていた時代の事なので、ニュースで聞いていた

ことが実況中継のように描かれていました。  私が小学生の頃、社会の教科書にソ連のコルホーズ、ソフホーズ

という国が経営する整然とした集団農場で働く人々の写真が載っていて、素晴らしい方式のように書いてあって、

子供心にこんな凄い国があるんだと思ったのを記憶しています。 でもその当時にソ連や東欧諸国に行った事の

ある人は、あまりの暗さ、陰鬱さに息を飲んだそうで、これが憧れていた(そう思った人もいるでしょう)

社会主義なのかと思ったそうです。

そのような社会の変動を背景に、主人公堀江亮介は「プラハの春」で恋人だったカテリーナの娘であるシルビアと

「ベルリンの秋」では恋人となり、その恋愛模様が描かれているのですが、そこはあまり引き込まれませんでしたが、

東ドイツの女性と日本の外交官の恋愛、結婚がいかに難しいものであるかがよく分かりました。

最近ベルリンの壁崩壊30周年ということで、最近の東欧諸国を取材したニュースを幾つか見ましたが、崩壊後

西側諸国と同じように発展したという事はなく、東ドイツの人々はやはり元東ドイツ市民というレッテルのもとに

生活をしており、西ドイツのようには豊かではないそうです。 また他の東欧諸国の村、元チャウシェスク独裁

政権が君臨したルーマニアの農村を映していましたが、日本の寂れた農村よりももっと荒廃していて、これが

ヨーロッパなのかしらと疑う程でした。 今なお社会主義国であった弊害が残っているという事でしょうね。

改めて当たり前のように享受している自由主義経済、資本主義経済の豊かさに対して、感謝しなければと思いました。

でも自由主義経済であるが故に生じてくる格差社会の現実にも、目を向けなければと思いました。

 

そして性懲りもなくこの小説の続編「ウィーンの冬」の上下巻とも購入済みで、読むつもりにしています。

ドイツはハイデルベルグしか行ったことはなく、ベルリンのイメージは持てなかったのですが、ウィーンは今夏と

去年に行っているので、ある程度地名も分かるし、そういう意味では楽しめるかもしれません。 でも東京が舞台と

なる部分もあって、オウム真理教が登場したりするそうで、ちょっと楽しみですが、また途中で放棄したくなるかも

知れませんね💛

posted by Violet | 11:43 | 読書 | comments(2) | trackbacks(0) |
小説「プラハの春」

📕春江一也著📕

*写真下右・プラハと言えばモルダウ(ヴルタヴァ河)

 

6月下旬からウィーン・プラハ旅行に行くにあたって、チェコ・プラハに関して旅行書だけでなくて、どんな国なのか

知りたくて、「プラハの春」と言うまさにその時代を背景に、若き日本国大使館員と東ドイツの反体制活動家女性との

ラブロマンを軸に、その時代の流れに翻弄されつつ、懸命に生きた人達を描いた小説を読みました。 この小説の著者

自身がチェコに赴任した大使館員で、すべては事実ではないけれど、歴史的なことは史実に基づき、様々な事が実体験を

もとにフィクションも交えて書かれているそうです。

今や中世の街並みがそのまま残る「百塔の街」として、プラハは観光客で溢れかえっていると聞きますが、チェコ

・プラハは長年に亘って苦難の歴史を歩んできた国・都市でした。

15世紀にオーストリアのハプスブルグ家の支配下に置かれ、500年もの長い間、プラハ城はハプスブルグ家の居城と

なりました。 20世紀初めハプスブルグ家の衰退とともにその支配は解かれたけれども、またドイツ、ソ連の支配下に

置かれたりしました。

そしてこの小説の時代の1968年にチェコは共産主義の抑圧から脱し、経済改革と自由化への気運を高めつつあった

その時に、ソ連の軍事介入がありました。 その時の様子が実況中継のように詳しく書かれているのですが、想像を

絶するものでした。 また当時の社会主義国家というものが、いかに自由が無く、物資も乏しく、暗く活気のない

生活を強いられていたかも描かれていました。 そして真の民主化が行われたのは、なんと1989年だそうです。

チェコは芸術が豊かな国で、音楽ではスメタナ、ドボルザーク、絵画ではミュシャ、文学ではカフカと、芸術で国民性を

表現する国だと言われるそうです。 色々な国に侵入され、支配下に置かれた時代が長かったからこそ、国民性豊かな

芸術が育ったのでしょうね。 スメタナの「わが祖国・モルダウ」、ドボルザーク「新世界」(アメリカから故国への

郷愁を描いている素晴らしい交響曲第9番ー大好きです!)、ミュシャの「スラブ抒情詩」等、素晴らしい作品があります。

今回の旅行ではチェコの人達のこれらの苦難の歴史も踏まえつつ、これらの芸術に現地で触れることができるのを、とても

楽しみにしています。

この本の著者春江一也氏は故人となられていますが、「プラハの春」の続編として「ベルリンの秋」、「ウィーンの冬」を

書かれているので、是非とも読んでみたいです💛 

posted by Violet | 16:45 | 読書 | comments(0) | trackbacks(0) |
恩田陸著「蜜蜂と遠雷」

🎹ピアノコンクールを舞台にした小説🎹

 

友人に勧められて恩田陸著「蜜蜂と遠雷」を読みました。

ピアノコンクールを舞台にした作品で、4人のピアニストを中心に書かれおり、人間の才能と運命を描いて

いて、お互いに刺激しあい、競い合って素晴らしい音楽を紡ぎ出していくという内容です。

特にある有名なピアノの師から送られた「ギフト」である養蜂家の息子、カザマジンの存在が素敵です。 

養蜂家というのは蜂を求めて場所を転々とする訳で、従って家にピアノはなく、それなのに何故コンクールに

出れるほどの才能があったのでしょうか・・・それは読んでからのお楽しみです!

残念なことに私はピアノの曲をあまり知らず、最後の本選のオーケストラをバックに弾く曲の中で、ショパンの

ピアノ協奏曲1番と2番、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番はよく知っていましたが、ラフマニノフの3番とか

バルトークのピアノ協奏曲第3番は知らず、もし知っていたならもっと面白く読めただろうなと思いました。 

とにかく音楽の描写が素晴らしく、読んでいてその世界に引き込まれる感じがしました。 

音楽好き、特にピアノがお好きな方にはお勧めの一冊です💛

posted by Violet | 11:28 | 読書 | comments(2) | trackbacks(0) |
最近読んだ本

本「カズオ イシグロ」と「湊かなえ」の本本

☆長崎公式観光サイトより写真借用

 

音符遠い山なみの光   カズオ イシグロ

音符忘れられた巨人   カズオ イシグロ

音符花の鎖         湊 かなえ

音符物語の終わり     湊 かなえ

 

カズオ・イシグロ氏の小説を手に取る前に、かつてテレビドラマで「私を離さないで」を見ていました。 

臓器提供の為だけに作られたクローン人間が、人里離れたある学園で教育され、集団生活を送っており、

ある年齢に達すると一時普通の社会で生活できるけれども、いつしか臓器提供を強いられて、2回3回と

提供していくうちにだんだんと弱っていき最後は死んでしまうという何とも救い難い内容のドラマでした。

あまりにも悲惨過ぎて見ていて暗い気持ちになってしまうのですが、何故か引き込まれて最後まで見て

しまいました。 結局作者は何を言いたかったのか、考え込んでしまいましたが、科学の進歩がもたらす

一線を越えてはいけないことをしたらどうなるのか、警鐘を鳴らしているのでしょうか。 それともクローン

人間にも普通の人と同様、友情や恋愛などの感情を持っているという事を言いたかったのでしょうか。 

あるいは人間は何れ誰しも死ぬのだから、例え短い一生だとしても生きている間は彼らは懸命に生きている

のだから、価値の有る一生だと言いたかったのでしょうか。

「私を離さないで」が自分の中であまり消化しきれないうちに、イシグロ氏はノーベル賞を取って、その後

2冊の本を読みました。 「遠い山なみの光」は戦後の混沌期の長崎を舞台に、必死に生きていく女性の姿を

別の人物に投影して書かれた小説でしたが、不幸の中にも一筋の光を見出して懸命に生きていく女性の生き

様が淡々とした語り口調で描かれていました。 とても綺麗な文章で綴られており、イシグロ氏本人が日本語で

書いたのかと思ってしまいましたが、彼はイギリスに帰化しており、日本語が出来ないそうで、彼の本はすべて

翻訳ものだという事に気が付いて、翻訳の素晴らしさにも驚きました。

次に「忘れられた巨人」を読み始めましたが、今までのものとは全く違って、時はアーサー王亡き後、舞台は

イギリスで物語はファンタジックな雰囲気で書かれていました。 過去に犯した罪がシンボリッ クに描かれて

おり、それは国家間、夫婦間でも言える事であり、忘れ去ってしまう方が平和が保たれるかも知れないけれど、

決して忘れてはならず、もう一度罪を犯した過去をしっかりと振り返って、その罪を認識した上で生まれくる

意識、感情に目を向けるべきだという事がこの小説のテーマはないかと思いました。

その後に読んだ湊かなえさんの花の鎖は、「雪」「月」「花」が入った名前の女性を中心に書かれた小説で

それぞれが別々の物語として語られており、最後に一つに繋がるという物語でした。

湊かなえさんと言えばイヤミスの女王と言われる方で、イヤミスとは読後感に嫌な思いが残るミステリーという事

だそうで、例えばかつて読んだ「告白」はまさにその代表格で、自分の娘を生徒二人に殺された教師が、少年法に

よって守られる少年達を一番大事な人(母親)を殺すという状況に持っていく事によって、復讐を果たすという

想像を絶する復讐劇でした。 被害者側としては気持ち的には理解できるかも知れないけれど、この教師は目的を

達成した後に何が残ったのでしょうか。 これがイヤミスと言うものなのでしょうね。

その後に読んだ「物語の終わり」もこの「花の鎖」もイヤミスの小説ではなくて、「物語の終わり」は小説家を

夢見ている女性が書いた結末のない原稿が、北海道を旅する人々に次々に手渡されていき、それぞれが自分の

人生(物語)の進むべき方向性を見出していくという短編が、その原稿を通して一つになるという構成で、とても

面白かったです。

posted by Violet | 23:08 | 読書 | comments(2) | trackbacks(0) |
ある夏の日の午後

音符音楽鑑賞しながら読書音符

暑い夏の日の午後に冷房の効いたお部屋で、ゆったりとした気分で読書するのは大好きです音符

今日はやっとしんどかったヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」を読み終えて、娘から借りた司馬遼太郎の

「関ヶ原」を読み始めました音符  大河ドラマ「真田丸」の時の印象が色濃く脳裏に残っているので読みやすく、

またTVよりも登場人物を詳しく描いているので、とても興味深く読めて、今のところはとても面白いです音符

せっかくのリラックスタイムなのでクラシック音楽でもバックに流そうと思って、手に取ったのがチャイコフスキー

の交響曲第4番で、とても久し振りに聴いた曲でした音符  とてもロシアっぽい音楽が随所に出てきて、時に力強く

時に甘く切なく、チャイコフスキーは大好きな作曲家の一人です音符

クラシック音楽は聞き流す事が出来ず、頭の中でメロディーを追ってしまうのですが、一応本を読みつつ、音楽を

聴くという二つの事を同時進行する事が出来て、何となく安心できました(まだボケていない!)音符

ところがそこにもう一つの音楽が耳に入ってきたのですが、耳を澄まして聞くと、何とテープに録音した私の

ヴァイオリンの音で、「美しき青きドナウ」が流れているのです音符  そしてそれに合わせて主人がチェロを弾いて

練習しているのです音符

さすがに同時に三つの事をする事は出来ず、ステレオの音量を上げて、主人のチェロの音はかき消しましたビックリマーク

posted by Violet | 22:37 | 読書 | comments(2) | trackbacks(0) |
読書の秋
本海賊とよばれた男 by 百田尚樹本

1か月以上かかってやっと「海賊とよばれた男」を読みました本
出光興産を作った出光佐三をモデルとした小説で、丁度私が生まれた少し前の時代から、
戦争で荒廃した日本が経済成長してきた中で、如何に彼が石油を武器に世界と戦い
出光という企業を作りあげてきたかが描かれており、とても興味深く読ませて頂きました本
彼が信条としたことは、普通企業であれば利益のみを追求するはずが、彼は社員を家族の
様に大事にし、また消費者に安く石油を提供しようとしたことです本
正に"Slow and steady wins the race."(ゆっくりと着実にすれば競争に勝つ・・・転じて
「急がばまわれ」)を地で行った人ですね本
読書の秋にお薦めの一冊ですハート
 
posted by Violet | 10:51 | 読書 | comments(2) | trackbacks(0) |
プリズム by 百田尚樹
本最近読んだ本本

最近何冊か読んだ中で、百田さんの「プリズム」がなかなか興味深かったです本
主人公の女性が解離性同一性障害(多重人格)の男性の中の一人に恋をしてしまう
お話です本  解離性同一性障害という言葉は最近時々目にするようになりましたが、
あまり正確には理解していませんでした本
その精神障害になる原因は、幼少期に経験する虐待からくる場合が多く、その様な
自分があまりにも辛く、それから逃れたいあまり、自分から離脱した別の人格が
形成されてしまうそうです本  
この小説では治療が成功し、だんだんと人格が統合され、主人公が恋した人格は
消えてしまう・・・でも何処かに残っている・・・という感傷的なストーリー
でしたが、難しい題材を分かりやすく展開してくれていました本
最近親による幼児虐待のニュースを時々目にしますが、絶対にあってはならない事ですビックリマーク

☆最近読んだ本
 火の粉            雫井 脩介 
 虚貌             雫井 脩介
 犯人に告ぐ         雫井 脩介
 まほろば駅前多田便利軒 三浦 しおん
 ようこそ、我が家へ   池井戸 潤
 MOZU           逢坂 剛
 ルーズベルト・ゲーム  池井戸 潤


 
posted by Violet | 23:17 | 読書 | comments(0) | trackbacks(0) |